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一大決心をして新システムを導入する。それは、ビジネスにとって新しい生活が始まる「お引越し」のようなものです。
しかし、そのお引越しで、こんな失敗をしていませんか?
長年住んだ家の荷物(旧システムのデータ)を、ピカピカの新築(新システム)に運び込む際、よく考えずに段ボールに詰めてしまい、不要なモノ(重複・古いデータ)まで持ち込んで収納を圧迫する。それどころか、一番大切な貴重品(最新の顧客情報)をどこにしまったか分からなくしてしまう…。
これでは、せっかくの新生活も台無しです。
データ移行の計画を軽視した結果、新システムが稼働初日から「データが不正確で使えない」ものになり、ユーザーの信頼を失い、プロジェクト全体が失敗に終わるケースは後を絶ちません。
この記事では、Salesforceへのデータ移行を成功に導くための具体的な計画(ロードマップ)、実践的なステップ、そして絶対に避けるべき落とし穴まで、体系的に解説します。
具体的な計画論に入る前に、なぜ「計画」がそれほどまでに重要なのか、「よくある失敗例」から見ていきましょう。
「移行してみたら、想定外のエラーが多発して休日返上で対応した」
「データのクレンジングと名寄せに、見積もりの3倍以上の工数がかかってしまった」
これらは、事前の調査や計画の甘さが招く典型的なプロジェクトの炎上パターンです。データ移行はプロジェクトの最終盤で行われることが多く、ここでの遅延はサービス開始の遅延に直結し、ビジネスに大きな損害を与えます。
これはITの世界の有名な言葉で、「ゴミを入れれば、ゴミしか出てこない」という意味です。
旧システムに蓄積された重複データや表記ゆれ、入力ミスといった「汚れたデータ(Garbage)」をそのまま新システムに投入(In)しても、新システムから得られるのは、間違った分析結果や使えないレポート(Garbage Out)だけです。
「移行されたはずの自分の担当顧客データが見つからない」
「商談の金額が、移行前と異なっている」
稼働初日に現場のユーザーからこうした声が多発すると、彼らは新システムに強い不信感を抱きます。そして、「このシステムは信頼できない」と判断し、結局使い慣れたExcelなど元のやり方に戻ってしまいます。これが、システムが誰にも使われず形骸化する、最も致命的な失敗です。
では、どうすればこれらの悲劇を避けられるのでしょうか。成功の鍵は、以下の5つのフェーズからなる入念な計画と実行にあります。
まず、プロジェクトのスタート地点として、「何を」「どこから」「どこへ」移行するのかを明確にします。
この調査が曖昧なまま進むと、後工程で必ず手戻りが発生します。
調査結果を元に、旧システムの項目と新システム(Salesforce)の項目を一つひとつ対応付ける「データマッピングシート」を作成します。これは、データ移行プロジェクトにおける最も重要な「設計図」です。
(例:「旧システムの'顧客名'」→「Salesforceの'取引先名'」)
単純な対応付けだけでなく、「'姓'と'名'を結合して'氏名'にする」といった変換ルールもここで定義します。
設計図が完成したら、いよいよ移行元データの「お掃除」です。移行の品質は、このデータクレンジングの徹底度合いで決まると言っても過言ではありません。
データクレンジングの核心である「名寄せ」や、そもそもなぜデータが散在するのかという「マスタ統合」の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
絶対に、いきなり本番の全件移行を行ってはいけません。まずは一部のデータ(例:100件程度)を使ってテスト移行を実施し、設計図通りにデータが移行されるか、エラーが出ないかを入念にチェックします。問題があれば設計や準備のフェーズに戻って修正し、リハーサルを繰り返します。
リハーサルで品質が担保されたら、いよいよ本番データを新システムへ移行します。移行作業が完了しても安心はできません。移行後のデータが、移行元の件数や合計金額などと一致しているかを確認する「検証」作業までが、データ移行の工程です。
汎用的な計画論に加え、移行先がSalesforceである場合に特有の考慮点を押さえておきましょう。
Salesforceには、「取引先(法人情報)」「取引先責任者(担当者情報)」「商談」といった、あらかじめ用意された主要な箱(オブジェクト)があります。そして、それらは互いに関連付けられています。この基本構造を理解せずにデータを投入すると、A社の担当者Bさんの情報が、全く関係ないC社に紐づいてしまう、といった事態になりかねません。
Salesforceは、データ移行のための主要なツールを2つ提供しています。
移行するデータの量や複雑さに応じて、適切なツールを選択することが重要です。
ここまで読んで、「思ったより大変そうだ…」と感じた方も多いのではないでしょうか。その通り、データ移行は専門性が高く、トラブルの多い工程です。
「旧システムのデータベース構造が複雑すぎて解析できない」
「移行ツールのエラーメッセージの意味がわからず、解決に1週間かかった」
データ移行には、マニュアルに載っていない予期せぬトラブルがつきものです。何百もの移行プロジェクトを経験してきたパートナーは、こうした問題の原因を即座に特定し、解決に導くノウハウを豊富に蓄積しています。
優れたパートナーは、ただ言われた通りにデータを右から左へ移すだけではありません。
「この機会に、乱立していた顧客ランクを整理しませんか?」
「将来の分析のために、この項目を追加して移行しましょう」
といったように、移行を機に「将来にわたって企業の資産となるデータ構造」をどう作るべきか、というコンサルティング視点で支援してくれます。
データ移行は、システム導入プロジェクトにおける極めて専門性の高い領域です。ここでつまずくと、Salesforceという優れたプラットフォームへの投資効果を最大化することはできません。
当サイト【SUCCESS FOLLOW】では、数多くの認定パートナーの中から、特に複雑なシステムからのデータ移行実績が豊富で、プロジェクトマネジメント能力に長けたプロフェッショナル企業を厳選してご紹介しています。
貴社の重要なデータ資産を安全かつ確実に新しい基盤へ移し、プロジェクトを成功に導くための最適なパートナー探しに、ぜひお役立てください。
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今回の内容を改めて整理します。
成功するデータ移行は、単に過去のデータを移すことではありません。未来のビジネスの成功に向けた、強固な土台を築くための重要な第一歩なのです。
Salesforce認定コンサルティングパートナーの中で、各社のこれまでの支援実績(業界業種やプロジェクト内容)を調査し、得意領域から3つに切り分けてご紹介しています。
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